デジタルマルチメーター選びのチェック項目(オーディオ測定)


はじめに

 せっかくデジタルマルチメーター(以下DMM)を買うならオーディオ測定が出来るDMMが欲しいとお考えの方向けに、DMMのカタログスペックでチェックするべき項目をまとめました。

DMM購入時の参考になれば幸いです。


チェック項目

 以下、ハンドヘルドタイプ(片手で持てるサイズ)のDMM購入時のチェックポイントを主観で恐縮ですが紹介します。

  1. 交流電圧(ACV,ACmV)
    入出力特性、周波数特性、歪率特性等の信号レベルの測定で使用します。
    測定可能な周波数の確認は必須です(周波数測定モードの測定範囲と違うので注意)。
    真の実行値(TrueRMS)で測定出来るタイプを推奨します。
  2. PC接続
    あると非常に便利です。
  3. デュアル表示(ACVとHz)
    PC接続時にACVとHzを同時出力可能なモデルなら、sweep音源で周波数特性の測定が出来ます。
    同時出力が出来ないモデルは、音源の周波数をその都度変更し測定する必要あります(DAPの周波数特性測定は気が遠くなる程面倒になります)。
    ※同時出力の可否はカタログに明記されていない事が多いのでなんらかの手法で確認が必要。
  4. サンプルレート
    ACVモードのサンプルレートが遅いと、sweep音源での周波数特性測定の測定ポイント数が減ってしまいます(音源を作れば回避可能です)。
  5. 直流電流の分解能(DCμA)
    トランジスタのhFeを測定する人限定になりますが、0.1μAの分解能は必須だと思います。0.01μAの分解能があればかなり満足します。

その他

  • 予算は3万円以上が目安になります。電源電圧 / 電流等のチェックだけなら普及価格帯のDMMで測定出来ますので、オーディオ測定をするかしないか決意が必要です。。
  • グラフ制作やチェック用途の場合は、桁数が少なくても問題ありません。
  • 確度は高い(0に近い)方が良いですが、追求しすぎるとDMM選びの選択肢が減ってしまいます。もし確度を追求するならベンチトップ型DMMの購入を検討した方がオーディオ測定では発展性があって良いと思います。
  • カタログスペック上、コンデンサー測定時の最大容量が気になるかと思いますが、DMMでの測定はメーカーの測定方法とは違うため参考値扱いになります(メーカーは交流で周波数を指定し測定)。別途LCRメーターを買った方が正確です。
  • ハンドヘルトタイプのDMMは10Ω以下の抵抗測定が苦手です。抵抗測定するなら4端子抵抗測定の出来るベンチトップ型のDMMかLCRメーターがベストです。
  • 0ピッタリの表示をしない、必ず0.xxx表示している、調整悪いの? ⇒ 自然です。桁数の多いDMMの場合、むしろ0ピッタリの表示の方が不自然です。

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