ヘッドホンはドライバーから鼓膜までダイレクトに音が伝わるため正確な再生が重要で、それが出来ていないと違和感を感じたり、音楽を聴いても楽しくなかったり、最終的には疲労します。
片方の耳を塞いで音楽を聴いてみてください。極端な例ですがそんな感じです。
例えばアラーム等の点音源を聴いた時、左右の耳は音量と位相が僅かに異なる音を捉えています(そうでなければ音源の位置が分からない)。僅かな音量や位相の違いが再生出来ているかいないかが重要です。
M-01はヘッドホンを最高の状態でドライブするために、再生精度に焦点を当て開発しています。
簡単ですが左右の音量と位相の差です。
音量差は説明するまでもなく音の大小です。
位相差はノイズキャンセリングやDSPの様に、意図的に操作すると音量や音源の位置まで変えてしまえる程、絶大な影響力があります。
① ゲイン(信号増幅率)
左右チャンネルでゲインが違うと音が片側に寄る。左右チャンネルのゲイン差が激しい場合、音量によって左右の寄り方が逆転する。
② 位相特性の左右差
空間の拡がりが不自然に感じられる。
M-01管理値:±0.1dB以下
(20Hz~100kHz、1mW時)
M-01管理値:±1°以下
(20Hz~100kHz、1mW時)
上記の物理的な特性は、実はオペアンプを使えばあっさりとクリアー出来たりします(摺動抵抗式のボリュームが間に入ると難しいですが)。
でも測定値はさほど変わらないのですが、左右チャンネルの特性差を減らす方向に追求して行くと、以下の項目が明らかに変化します。
測定して数値上明らかに違いが出れば断言出来るのですが、現状出来ていないので思想として扱っています。
上記実現のために、M-01で配慮している具体例を紹介します。
M-01は入力段で信号を受け、電圧増幅段で信号を大きくし、電流増幅段で電流を足しています。ゲイン的には
入力段:下がる(音質優先のため)
電圧増幅段:上げる
電流増幅段:ほぼ同じ
といったデコボコした構成になります。
最終的に左右のゲインが揃う様に帳尻を合わせれば良いと普通は考えますが、M-01はこのデコボコしたゲインの変化を左右のチャンネルが忠実にトレースする様に特性が揃った部品を選んでして製造しています。
ここがM-01の拘りの部分で、実際に音にも違いが出ていると感じます。
管理項目は
プロトタイプのマスター品製作に匹敵するDiscreetな管理で最高の状態に組み上げ出荷します。
異なる波形の信号を合成すると、新たな波形の信号が出来ます。波形の変化=音の変化です。
NFB(ネガティブフィードバック)回路は、出力信号を入力に帰還(フィードバック)する事で、出力特性を改善する優れた方式ですが、M-01はフィードバック信号の合成を避けるために思想的に無帰還式にしました。
信号が合成して波形がどう変わるのか測定出来ておらず、あくまでも思想になりますがその様に考えております。
M-01は、完成検査として、出力、周波数特性、ひずみ率特性、残留ノイズ、入出力インピーダンス等を全数測定します。
測定結果は冊子「TEST RESULT」にサマライズ化し、M-01に同梱し出荷します。